根と酸素

盆栽として培養管理される植物は、平野や山岳などに自生している樹木です。

​その樹木を鉢中で培養管理することは、自ずとその樹木が自生している環境に近づける必要があります。

​根と酸素 1

植物が育つために必要な栄養素は各種ありますが、

根にこれらの元素を含む無機イオンを与えればそれで植物が育つか、というと必ずしもそうではありません。それは、植物の根が、養分吸収だけでなく呼吸のためにも重要な役割をしており、水に根が浸かってしまうと酸素を十分に取り入れることができなくなってしまうからです。

 

多くの植物では根での呼吸が抑えられると、「根腐れ」と呼ばれる症状が起きます。

湿地に生える植物やマングローブなどの植物は、気根や呼吸根と呼ばれる器官が発達していて、大気中の酸素で呼吸することができますが、これは例外的な性質です。

健全な植物を育成するためには、十分な酸素を根に供給することが大切になります。

土壌では、必須元素を含む無機イオンが土壌中の水分に溶けており、植物はその無機イオンを吸収して育ちます。また、腐食物を多く含む土壌には団粒構造があり、空気が多く含まれています。作物が育ちやすい土とは、つまりは植物にとってバランスよく無機イオンが溶けた水を含み、また空気を多く含んでいる土、ということになります。

そのような環境では、作物は健康に育つことができます。いわゆる有機農業では、有機物を多く含む肥料を与えることで団粒構造ができやすく、またゆっくりと必須元素が土壌中の水分に溶けていくため、手間はかかるものの植物にとっては理想的な環境といえるかもしれません。

 

土壌の性質によって、無機イオンの溶けやすさや団粒構造のとりやすさは大きく異なることが知られています。そのため、用土によってどのような施肥をするのか、用土となる土壌の性質を把握し、それに合った施肥方法を採用する必要があります。

​転載:植物工場ラボ

​根と酸素 2

根を構成する細胞も呼吸をしており、酸素を吸収し、二酸化炭素を排出しています。

根の細胞への酸素(空気)の供給には二つの経路があります。

・根の表皮、内皮、維管束以外の細胞の多くは柔細胞で大きな細胞間隙を持っています。

 この細胞間隙はお互いにつながり、葉の気孔内腔へと続いていますので、

 常に空気の供給源となっています。

・根の細胞間隙は、土壌粒子の間隙にある空気とも表皮の間隙を介して接しています。

 根の表皮細胞の細胞壁はクチクラやワックスなどの沈積がほとんどなく、

 土壌間隙から酸素を直接取り込んでいます。

 

地上植物の根では、このような状態で可能な酸素呼吸で十分です。

根が冠水した場合

土壌の間隙は水で満たされ、根の表面全体が水と直接接することになりますが、以下の状況下になります。

水に溶解している酸素を吸収することは出来るが、根表面に接する水の酸素濃度は

 すぐに低下する。

・酸素の供給は、拡散に頼ることになりますが、水の中での酸素拡散の速さは遅いため

 土壌からの酸素の供給がほとんどなくなり、根は柔細胞間隙からだけの酸素供給に

 頼ることになる。

 

この状態が長く続くと、植物種によっては酸素欠乏をきたし「窒息状態」になります。

しかし、ふつうは、このような状態になると、植物は根の柔細胞の間隙を大きくしたり、柔細胞の一部を積極的に破壊したりして、大きな通気組織を発達させ、地上部からの酸素供給を増加して個体の生存を図ります。ちなみに、地上部の気体交換は気孔を介するものが大きいことは間違いありませんが、気孔だけではなく、表皮細胞の表面や間隙からも酸素を吸収しています。

夜になって、気孔が完全に閉じても呼吸は続いています。

​根と酸素 3

植物は根で土壌から水・栄養分の吸収をしていますが、

各種の根をまとめて根系といっています。

 

根系の出来方には、下記があります。

・茎からでる主根を中心にして枝となる側根をたくさん出す主根・側根型(双子葉植物)

・茎のまわりから同じような太さの根が放射状にでるひげ根型(単子葉植物)

地上部の成長と一緒に根系も成長します。

・古根、新根が共存

・根の先端部は若く、基部は古い部分

・水、栄養分は新しくできた根で吸収

・新根の先端部での細吸収は主に根毛で行われている

・若根でも基部の方に根毛のない部分でも水分・栄養分・酸素は吸収される

・根には、より湿度の高い方へ曲がって成長する性質(ハイグロトロピズム)がある
根の役割には土中から水や栄養分を吸収することのほかに、

・地上部を固定

・物質を貯蔵

・栄養分を通導   

という大切な働きがあります。